2003年3月30日 高知民報


 3月19日の2月県議会本会議で塚地佐智議員の競馬関連の予算案に対する反対討論の要旨を紹介します。


 競馬事業の累積赤字処理のための一般財源投入と、存続を前提とした、県有財産の土地の無償貸し付けについて討論を行います。
 そもそもギャンブルは法律により禁止されており、競馬事業は刑法富くじ発売罪の例外として特別に認められたものです。特例の事業目的は、利益をあげ自治体財源に寄与することにあることは明白です。
 しかし高知競馬の一般会計繰り入れは昭和59年から20年間にわたり1円も行われていないばかりか、平成3年度からは単年度赤字が連続し、累積が88億円に上ろうとしています。競馬組合が負担すべき施設建設費償還金や土地建物使用料の負担が不可能となり、一般財源からの支援が必要となった段階では、事業そのものの存在根拠を失っており、県民の視点に立てば、存続を認めることは極めて困難です。
 だからこそ平成12年2月に提出された「高知競馬の今後のあり方に関する提言」にも、「すでに破綻している高知競馬が、後のない再建をかけて徹底した改革に要する期間を設け、条件付きの存続により、その目標達成を期待するとともに、達成できないときには廃止を考えるべき」との結論を出しているのです。
 この目標が達成されないことは明白です。なぜ計画通りの経営改善が行われなかったのか、提言後新たに増えた38億円もの赤字に誰が責任を持つのか、累積赤字の原因と責任の明確化、処理方法を県民に明確に示し、提言に従って処理を進めることが、設置者としての取るべき対応だと考えます。
 日本共産党県議団は平成4年からの累積赤字が5年間で34億9200万円に及ぶに至り、平成9年9月議会で抜本的検討を求めました。しかし競馬組合議員には、一貫して排除され、その経営の問題点の本質に直接関わることが出来ませんでした。
 その後も改善されない中、競馬事業の調査に入り、その結果明らかになった事実を平成12年3月議会と3月の競馬議会で厳しく取り上げました。その経営内容は驚くべきものです。
 高知競馬場開催警備は、新競馬場開設時の昭和60年から部落解放高知市労働事業協会に毎年5000万円前後の委託料が随意契約で支払われていましたが、開催日には現職警官や警察OBが数名づつ付いているため実際は、半数以下の人員で対応出来ると言われていました。
 馬道清掃等業務も平成4年から、部落解放高知市労働事業協会に随意契約され、年間委託料は11年度に2143万余円が支払れていますが、作業実態は少人数、短時間でできるものであり、厩舎のボランティアでかなりのところがカバー出来るとの事でした。
 更に平成12年度の従事員の賃金は、日々雇用の形態で一日6時間勤務にもかかわらず日給が1万890円が55名、7980円が177名で、時給1815円か1330円の方が約7割を占めている実態で、賞典奨励費の売得金比率は全国14番目なのに、臨時従事員賃金比率は全国4番目の高さのままです。
 また31万5千円という金額とはいえ競輪競馬部落解放研究会への補助金を支出しているなど、赤字解消のための必死の努力がされているとは言い難いものでした。
 しかも、今議会で明らかになった通り、以前から問題視されていた、従事員の離職餞別金は12年度に7100万円も支払われ、前記提言で見直しが求められていながら放置され、この2年間でも約6千万円が支払われています。その上、制度廃止にあたって全員いったん退職という方法で1億9000万円を支給するというのでは競馬廃止寸前に先取りをするものだとの批判を免れません。
 そもそも競馬は、売上金の75%を馬券を買ったファンに還元せねばならず、残りの25%で運営することになっていますから、その中で運営経費を賄うことが至上命題です。その遂行に責任を負うことなく、財政状況の厳しさの中、赤字原因を、景気低迷や、他の公営競技との競合によるものという曖昧さですませ、漫然とした経営を続けてきた結果、88億円もの累積赤字を生み出してきたと言わざるを得ません。
 こうした姿勢では、今後の運営にも、大きな不安を覚えるものです。何らかの新たな補助金を設けて、赤字と言わないやり方をすれば傷口は広がるばかりです。
 競馬事業の存続は、もはや限界であり設置者としての責任ある対応こそ求められています。88億円の累積赤字を県民負担にしようとする今、原因の説明と責任を明らかにすべきです。
 廃止するにあたっては関係者の今後の保証に万全を期さなくてはなりませんが、そのためにも、これまでの運営と経営責任を明確にしておくことが重要です。棚上げのままでの一般財源投入と競馬場土地の無償貸し付けには同意出来ません。
 そうした立場から、累積赤字の一般財源投入による解消計画予算がスタートし、総予算額の一定割合を占める14年度補正予算と第69号県有財産の無償貸し付けに関する議案に反対するものです。