2003年9月21日 高知民報


高校奨学金検討委員会の人選を指図 「解同」県連が県教育長に要求

 9月10日、県庁西庁舎で部落解放同盟高知県連(野島達雄委員長)と県教育委員会との「話し合い」が行われましたが、席上「解同」側は日本育英会の独立法人化により高校奨学金事業が都道府県へ移管されることを契機に奨学金事業に影響力を行使することを重視した「働きかけ」を大崎博澄・県教育長に行いました。 

 「話し合い」には「解同」県連から野島委員長、山戸庄治書記長、藤沢朋洋・高知市議、中山研心・高知市議らが、県教委側は大崎県教育長、佐藤光次郎・高等学校課長らが参加しました。
 「解同」の主な要求は以下のようなものでした。
@育英会の独法化にともない県内に設置される検討委員会に、同和問題の当事者、もしくは精通した委員を入れること。
A奨学金に関する「解同」側の意見をまとめたものを検討のベースにしてもらいたい。とりわけ成績や所得での制限を撤廃すること。
B奨学金の窓口を学校だけでなく、隣保館なども位置づけること。

「解放運動の力量」

 「解同」高知県連の動きの背景には、「解同」中央本部が早くから打ち出している方針があります。 「解放新聞」4月28日付は、「奨学金制度の抜本的な改革を全力でかちとれ」と強調。今回の地方移管を好機ととらえ、「部落問題の解決をめざす、つまり『人権』の視点にたった奨学金制度の確立が必須なのである。(中略)部落解放同盟がすすめる部落解放運動の力量が問われる課題」と位置づけています。
 この日の話し合いで「解同」県連側がとりわけ力を入れたのが、検討委員会委員の人選。山戸書記長は大崎教育長に、「同和問題の当事者、もしくは精通している人物」を委員に加えることを即答するよう強く迫りました。
 「解同」が言う「同和問題の当事者、もしくは精通している」とは「解同」代表や「解同」の影響下にある人物ということは明白ですが、大崎教育長が「検討する」と述べたにもかかわらず、山戸書記長が強引に「今、教育長から入れてくれるという話があった」とまとめてしまうなど、有無を言わさず要求を飲ますような場面がみられました(※注1)。
 野島委員長に至っては「検討委員会にはかる内容は、県議会に出す前に我々に見せてほしい」と平然と事前「検閲」を要求する始末。これはさすがに山戸書記長があわてて修正しましたが、横車を押し行政に圧力をかけるような体質が依然として根深いことが明らかになりました。
 ※注1 話し合い終了後、大崎教育長に「解同」代表を検討委員会に入れるつもりなのかと確認したところ、「同和問題に詳しい人を入れてほしいという話だったので、検討すると答えた」と回答。「解同」側は自分たちの代表を入れることを確約したと受け取っている様子だが、教育長のコメントとはかなり温度差がある。

主なやりとり

 山戸  検討委員会に同和問題の当事者、もしくは精通した委員を入れてもらいたい。法律はなくなったが同和地区はまだあり、教育・仕事・啓発などの課題はある。
 藤沢 大崎教育長は同和地区の実状に精通していると思うが、忙しいと思うので、現在の状況を一番よく分かっている人を入れてもらいたい。
 大崎 趣旨は分かる。ヒアリングなどで意見を反映させる場を作っていきたい。
 山戸 そうではない。論議の場に入れてほしい。お客さんではなく、最初からいれてほしいと言っている。それでいいか。
 大崎 ・・・・・。(よく聞き取れず)
 山戸 今、教育長から入れてくれるという話があった。
 山戸 成績条項を撤廃してもらいたい。奨学金についての「解同」の考え方を示すので、それをもんで(ベースにして議論して)ほしい。同和地区のことは他人よりは詳しいから。当事者を検討委員会に入れることでもあるし。
 佐藤 検討は、これからニュートラルにしていくことになるが、たぶん成績条項は中心的な議論になっていく。幅広い方面から声を集めていく。
 山戸 奨学金の窓口を、学校だけでなく隣保館も位置づけ、周知徹底し利用できるようにすべきだ。
 大崎 そのようにする。
 野島 どのような形で検討していくのかという内容を、県議会に出す前に自分たちに見せてほしい。
 山戸 我々の思いをくんでほしいという意味に聞いてもらいたい。
 中山 奨学制度の所得制限をなくしてもらいたい。親ではなく子供に投資するのだから、親の所得は関係ない。
 大崎 究極の理想だが、予算の限りもあり、まず家計が困っている子供からになる。学校に行きたい子供には全員奨学金を出したいというのが本当の気持ちだ。
 山戸 今の教育長の言葉を大事にしたい。自分たちの要求が地区の子供だけでなく、一般対策としすべての子供に関係するというつもりでやっている。今後も話し合いを続けていきたい。