2010年1月10日

コラム南炎「体力とはコツなのか」

「全国学力・学習状況調査」の体育版である「平成21年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(小5、中2の全児童対象)の結果が昨年末に公表され、高知県の「体力・運動能力」の成績が向上したと報じられた。調査結果をみると小中ともに昨年度は全国最下位あるいは46位程度だったのが、今回は概ね40位程度に上昇している。成績伸び率は全国1位。「学力」とともに体力の「全国最下位クラス」からの脱却をめざす県教委であるが、調査結果を発表する会見にのぞむ県教育長の機嫌は上々だった▼全国一の成績伸び率躍進の秘訣は何か。それはリハーサルの実施であり、さらには記録の正確な計測方法だった。県教委の肝煎りで、反復横飛びや、ソフトボール投げなどのメニューを県下的に事前に児童生徒に徹底して練習させてコツをつかませ、先生を集めて「正しい」計測のやり方を講習したから▼果たして体力とはコツなのだろうか。要領が多少良くなったことで上がる程度の順位に如何ほどの意味があるのか。高知県の子どもの体力が全国水準と大差ないということが分かれば(もう十分に分かったはず)、この手の調査の目的は十分達成したといえるのではないか▼鳩山政権は「全国学テ」同じく体力・運動能力全国調査も縮小方向を示しているようだが、県教委は「学テ」同様に県独自の悉皆調査を継続する構え。悉皆調査で数値化し、順位を付けなければ「PDCA」が働かずチェックできないというのが、その理由であるが、改善が急がれるのは、子どもの学力や体力ではなく、順位を付けなければ気が済まない、向上させることができないというかたくなな思い込みを知事や県教委が払拭することではなかろうか。(ひ)(2010年11月10日 高知民報)