昨年2007年は選挙、選挙の年だったが、なんといっても最も印象が強いのは、橋本大二郎知事の退任だった。「大二郎が県庁からいなくなる」。橋本シンパだけでなく、アンチ橋本派でさえ、ぽっかり穴が開いたような寂寥感を抱いた人は多かったのではないか。それだけ橋本氏の存在は高知県民にとって大きかった▼そして尾ア正直新知事。着任直後に駆けんだ12月県議会を見ただけなので、「色」はまだ見えず、本格的に論ずる訳にはいかないけれど、質問戦の中では興味をひかれることがいくつかあった▼自民党タカ派議員の「自主憲法制定についてどう考えるか」との質問は「地方自治の充実につながるよう取り組む」とかわした。また田頭文吾郎議員の「高レベル放射性廃棄物最終処分場は拒否すべき」との問いには「誘致には否定的な考え」と答えた。「否定的」とは広辞苑によると「賛成できないこと」であり「反対」と同意である。誘致に熱心な自民党国会議員に選挙で世話になった手前もあり、まともに「反対」とは言えないのだろうが、この問題に限らず尾ア県政は今のところ実質的には橋本県政の路線を忠実に踏襲している▼尾ア知事の答弁に自民党県議団は複雑な表情だ。おそらく微妙に勝手が違うという感触を持っているのだろう。橋本氏から尾ア氏へと役者は変わっても、台詞は同じなのだから無理もない。肯定すれば今までの「摩擦」は、橋本憎しのタメにするものでしかなかったことが露呈してしまう。利権勢力からのアプローチは猛烈で、この先、尾ア県政がどっちに転ぶかは分からない。楽観は禁物だ。2008年、尾ア県政の進む方向をチェックし、関心を持っても見ていこうと思う。(ひ)戻る