7月の参院選で当選した民主党の新人議員の醜聞が週刊誌を賑わせている。記事は目を背けたくなる品のなさだが、書いてあることが事実であるかどうか、今のところまだ分からない▼ただ「さくらパパ」こと、横峯良郎氏は、その問題発言を本紙が指摘した経過がある。7月21日、かるぽーとで開かれた民主党演説会で横峯氏はこう言った。「年金なんかみんな言えばいいんですよ。みんな65歳以上の人が言って、はい私納めてましたと、納めてなくても言ってもいいと思います。言ってもいい」。掛け金を長年まじめに払ってきた人をどう救済するのかということを論じている時に、虚偽申請で詐取してしまえとは、いったいどういう神経か。こんな人物に国会議員の資格がないことは誰の目にも明らかだ▼これほど重大な問題発言があったにもかかわらず商業マスコミはまったく報じなかった。当日、演説会場には10人以上の新聞やテレビの記者がおり、発言はどの社もみんな聞いていたのだが、報じたメディアは「高知民報」以外になかった。同じ頃、東京選挙区の自民党の若い女性候補が過去の選挙で投票に行っていなかったことで大騒ぎしていたのとは対照的だった。そして横峯氏は当選した▼インターネットの世界では、「高知民報」が報じた横峯発言は大きな話題になり、ウィキペディア(ネット上の共同百科事典)の「横峯良郎」の項目にも書き込まれるなど、この発言は多くの人の知るところとなっている。しかしネットの影響力はまだ限定的だ。マスコミが横峯氏の問題発言をきちんと報じていれば、有権者の判断もまた違ったものになったかもしれない。横峯氏の醜聞は、新聞やテレビの責任をも突いている。 (ひ)戻る |