アメリカでは「脱ペーパー」を打ち出す新聞が増えているという。日本ではインターネットで新聞がやっていけるという道筋はまだ明確になっていないが、さりとて流れに逆らうこともできずつきあわされているのが実態だ▼このあたりの事情は実は我「高知民報」もあまり変わらない。民報は2002年にウェブサイトを開設。03年秋の「選挙資金疑惑」あたりから俄然注目されだした。当時高知新聞は「橋本下ろし」大キャンペーンの真っ最中で、「笠メモ」やW建設河川敷問題など高新が載せない情報を、こまめに民報のサイトに載せたことでアクセスが急増し、一方的な情報への対抗軸として、小とはいえ無視できない力を発揮した。以来、「高知民報」の影響力が確実に増していることを日々実感する▼が、これは新聞としては厄介な問題を抱えている。ネットを閲覧する人は有料で購読しなくても、より早く情報を得ることができてしまう。最近、民報のサイトでは動画や音声も強化しているので、紙の新聞より、ある意味遙かに濃いサービスをタダで提供しているわけで、これでは有料の新聞を取ろうとう気にはならない。まるでタコが自分の足を食べているような状態だ▼高新のウェブサイト関係者と話す機会あったのだが、やはり同様のジレンマを持っていた。ニュースを発信するには相当のコストがかかるわけで、ウェブを有料化するか、撤退するかいずれかを選択するようになるのではないかと。だが高新に限らず、今更ネットから撤退するわけにいかないだろうし、ニュースは読まれてナンボ。おいそれと対象を限定するわけにもいかない。いくら考えても堂々巡りするだけだが、やはりネットに記事を配信しないわけにはいかないわけで、悩みはつきない。(ひ) |