駅前複合ビル構想が沈静化したと思ったら今度は高知大の「都市キャンパス」が騒ぎになっている。以前から帯屋町商店街を中心に動きがあったのだが、ここへきて高知新聞が火を付け、岡崎誠也高知市長もその気になっているようだ。この問題を秋の市長選の公約にすると言っているというから驚く▼高知大生にとってキャンパスを分離することがよいことなのか、また学生が減る朝倉はどうでもいいのかということもあるが、大学と帯屋町との間で土地を構えるならそれもよいだろう。が、今回の話で納得がいかないのは現在、子供が通学している追手前小を亡き者のごとく扱い、移転を当然の前提にして土地を使う話を市長や地元紙が平気でしていることだ▼だいたい話の順番がおかしい。仮に小学校の移転をするのであれば、それはあくまでも子供の教育にとって今の学校の現状がどうなのかという所から始まらねばならない。しかし今回の話は、何が何でも施設を誘致したい商店街と、「生き残り」のために「地域貢献」こだわる大学の一部幹部との合作をメインに、選挙公約の目玉が欲しい市長、学校リストラの口実を探していた市教委がここぞとばかりに乗ってきたという感じで、学校や子供のことを真面目に考えている様子がない。商店街救済をするための箱モノ用地をつくるために追手前小は邪魔者なのか▼同小の保護者と話をする機会があった。彼女は「市長の選挙のために学校をなくすのはおかしい。政治が教育に介入することは許せない」と憤慨していた。当然だ。あまりに性急な市長の飛び付き方には、市の幹部からも嘆きの声があがるなど市役所内部からも不協和音も聞こえてくる。何やら前市政の末期に似てきたような気がする。(ひ) |