中高生の間で「ネットいじめ」が深刻化しているという報道を目にした。自分のサイトの書き込み欄に「うざい」「死ね」「学校に出てくるな」などと匿名で執拗に書かれるらしい。今の子どものかなりの部分が、無数にある携帯電話ウェブ用の無料掲示板や簡易ホームページサービスを利用して個人サイトを開設しているのをご存じだろうか。以前ならこの手の話はごく一部の子どもの問題であったのだが、今はどの家庭の子どもも関係する可能性がある▼通常のいじめは学校を休めば及ばないが、ネットいじめはどこまでも追いかけてくる怖さがあると体験した高校生が話していた。またネット特有の匿名性が言葉をより過激に陰惨にさせ、受ける側のダメージは重く、深刻な問題に発展するケースも多い▼問題なのは、子どもの携帯電話やインターネットを取り巻く状況が急速に進化して、危うさが増大しているにもかかわらず周囲の大人が全く無知で対応ができていないことだ。自分の実感では教師の大半、母親の圧倒的部分は自分は携帯電話でメールはしても「インターネットのことはよく分からない」。それ故、子どもを取り巻く日本のネット環境の異常さへの問題意識が非常に希薄である▼「凶器」にもなる高性能で高価な道具を発達途上の子どもに与えておきながら「大人がよく分からないでは無責任だ」と指摘するのは子どものネット問題に詳しい下田博次・群馬大学社会情報学部教授。下田教授は子どもがネットで被害者や加害者にならないよう支える「ねちずん村」という運動も主宰している。県下の教育関係者には、この問題での勉強会を開くなどしていくことを是非おすすめしたい。
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