一部の人たちの中で皇室典範改正、すなわち女性・女系天皇問題が大きな問題になっている▼小泉政権は女性・女系天皇を容認する皇室典範改正案を出す動きを見せているが、極右派から「天皇制崩壊につながる」と猛反発がおきている。右派オピニオオン誌『諸君』1月号には靖国礼賛、反中国とともに「女系容認・長子優先は皇統断絶への一里塚?」との見出しが踊り、なんとかという宮様に至っては「福祉団体」の会報エッセーに続き、新年早々「毎日新聞」や「文藝春秋」に登場して「一度切れた歴史はつなげない」と女性・女系天皇への動きを批判している▼そもそも天皇制などという時代錯誤なもの自体がおかしいという原則論はここではさておく。「女性天皇」とは愛子ちゃんが浩宮氏の次の天皇になることで、「女系天皇」とは愛子ちゃんが将来「一般人」から養子を取り、その子供が天皇を継ぐことをいうのだが、一体何が気にくわないのだろうか▼先の宮様の言葉を借りると「神武天皇から連綿として一度の例外も無く、男系で今上陛下迄続いて来ているという厳然たる事実」、「神武天皇のY1染色体が継続して現在の皇室全員に繋がっている」。要するに男系でなければ血が汚れるということに尽きるのである。恐るべきアナクロニズム。このような雰囲気の中で、男子を産めなかった雅子妃がストレスでぶっ倒れるのも無理はない▼実在したのかどうかも怪しい神武天皇からの血筋に異様にこだわる神経には言葉を失うが、この流れは靖国礼賛、侵略戦争肯定の流れと同一線上のもの。彼らの小泉批判は右派内の大きな矛盾である。靖国礼賛勢力の時代錯誤、非科学性、人権感覚欠如ぶりを天下に知らしめるよいチャンスなので、注目していきたいと思う。
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