最近、高知市と春野町の合併問題や違法墓地の取材のため春野町役場にちょくちょく行くのだが、情報開示についての考え方の時代錯誤ぶりというか無理解に驚かされることが多い▼たとえば春野の役場では、町の予算書や議会の議事録を見ることすらなかなか苦労させられる。ある幹部職員に町の予算書を見たいと依頼すると「個人情報のことがあるかもしれないので、ここでは判断できない」と言われた時があった。町民に公表されている予算書を見せるのに何を心配しているのか皆目分からない。さすがに総務課長は「困ったものだ」と苦笑しながら予算書を出してくれた。また議会事務局に過去の議事録の閲覧を申請すると「何に使うのか」、「急に言われても困る」と渋られ、ようやくコピーするだんになって議事録の中の会議への出席者名が記載されているページを「この部分はコピーすることはできない」などと大まじめ言う▼これもどうやら氏名が書かれているので「個人情報」を気にしているような気配。職員にいくら「会議への出席者の記載も議事録の一部であるし、書かれているのは議員と執行部だけだ」と説明してもとりつく島がなく、「後日上司と相談して判断する」の一点張り。議事録のコピーを断られるとは予想していなかったので、こちらも面食らったが、しかたがないのであきらめた。郡部の役場はどこも似たようなところはあるが、春野はちょっと度が過ぎている▼個人情報保護の意味や基準を職員が理解していないため、何かあると「個人情報のことがあるので・・・」と枕詞をつけ公開を避けようとするのが実際だ。情報開示は行政の透明性のバロメーターである。もう少しちゃんと勉強してもらわないと困る。
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