9月の総選挙では「郵政民営化」しか言わなかった小泉首相の周辺で、消費税率引き上げへの動きが慌ただしくなってきた。税率は10%と言われている▼首相は選挙中「庶民大増税をやるつもりだ」と指摘されると、「自分の任期中はやらない」と逃げ回っていたが、商業メディアは増税問題に突っ込むこともなく「小泉劇場」を垂れ流すだけだった。政府与党は大儲けする大企業の低率な法人税はそのままに消費税だけを唯一無二の税源のようにあおり立てているが、しばらく選挙がない今しか増税のチャンスはないと考えているのだろう▼自民党や公明党は総選挙で「郵政民営化」は「小さな政府」の一歩と言い増税には全然触れなかった。高知1区で当選した自民党の福井照氏も「小さな政府」を連呼した。「小さな政府」とは実際には弱者の安全弁破壊でしかないことは明らかだが、自民党流に言えば「無駄遣い」をやめ、負担を軽くするということのはずである。福井候補は「みなさんの負担が軽くなり、サービスは充実するのが小さな政府です」という嘘っぱちを平気で演説していた▼しかし選挙が終わって出てくるのは果てしない庶民の負担増だけ。確かに大企業には負担は軽く手厚い保護だが、庶民には高負担と小さなサービスというのが実態だ。頼みの「野党」第一党は、もともと年金財源のため消費税8%にすべきという主張であるからてんで話にならない。自民党に「8%で足りるのか」と突っ込まれると、さらに高率の「対案」を出しそうで恐い。「郵政民営化」一本の解散総選挙だったのだから国民は増税を信任してはいない。消費税10%への引き上げ是か非か。国民の信を問うのがフェアというものだ。
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