「国民保護計画」について最近関心が高まりつつあるようだ。学習会への参加者が増えているし、保護計画についての話題もちょくちょく耳にするようになった▼国民保護計画は3回の協議会を経て決定される。うち早2回が終わったことになる。協議会は50人ほどのそうそうたる委員がロの字型に並び、司会は橋本大二郎県知事。討議を呼びかけても意見など出るはずもなく、いつもシャンシャン。スケジュール通りに保護計画は今年度中にできることになるだろう▼県が計画を準備している早い時期から担当者の話を聞く機会が度々あったが、最も異様なのは、担当職員が北朝鮮がミサイルを撃つだの中国が攻めてくるなど、戦争を当然の前提にしたフレーズが端々に出てくることだった。担当者は大まじめなのだが、住民の福祉向上を目的とする自治体職員の仕事とかけ離れた彼らの言動に違和感は否めない▼計画を説明する担当者は「NBC(核や生物兵器)攻撃があったら、空爆があった場合は」などと軽く言う。そんな可能性がどこにあるのかと突っ込みたいのは我慢して、核兵器が落とされた時点で大量の死者が出るということを果たしてどれだけ理解できているのか。小型の戦術核であったとしても、数千人ではすまないかもしれない。負傷者はすごい数になる。国民保護というならば、まずこのような事態にならないことを第一義に考えるべきだ。戦争を起こし、たくさんの人間が死ぬことを前提にして、避難だ保護だなどと言っても説得力はない。戦争を絶対起こさないように、日本国憲法の立場でアジア諸国と平和共存していく道を探ることこそが、最も確かな国民保護の道であることを肝に銘じてほしい。
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