高知市と春野町の合併のための法定協議会を設置する議案が10月4日、高知市議会で僅差で可決した。多くの問題をはらんだこの合併議論の舞台は今後は合併協議会の場に移ることになる▼「平成の大合併」の中で多くの町村の合併を目撃したが、法定協議会というのは、ほとんどの場合まともに機能しない。とにかく「合併ありき」で新市の名称、役場の位置、まちづくり計画(空想的な願望を書き連ねたもの)をとりあえず決めるだけ。細かいことは合併後に「新自治体が決めること決める」と先送りして何も審議などされないのがパターンだ▼岡崎誠也・高知市長と氏原嗣志・春野町長との間には平成18年秋までに廃置分合決議をあげることが確認されているという。とすればすでに1年しかない。理由は春野町議会の任期(18年11月)とされているが、なぜ両自治体の将来を決める重要な問題が、春野町議の任期に拘束されなければならないのか。実はこの話には続きがあり、急ぐのは19年4月の統一地方選の県議選挙に春野町長が出馬するためという噂もある。真偽のほどは分からないが、合併特例債など特段の理由もないのにスタートする前からゴールだけが決まっている背景には住民おかまいなしのドロドロした思惑が錯綜していることは確かだろう▼過去はどうあれ今回の合併協議会では、違法墓地、不法投棄、同和団体との覚書など高知市執行部が「協議会で論議される」とくり返した問題をしっかり議論しなければならない。そのためには法定協議会の委員の人選が問題になる。賛成派ばかりでは議論はできない。議会の意思は賛否相半ばだった。恣意的な人選をさせず公正な委員選出を強く求めたい。
戻る