総選挙が終わり民主党の党首が変わった。40代前半の若手で、憲法9条2項の削除や集団的自衛権を声高に主張している人物のようである▼もとより民主党の方針は一貫して国連決議があれば海外での武力行使ができるように憲法を変えるというものだったから、新党首が急に右旋回しているわけではなく、以前から言っていたことのオブラートをはぎ、率直に言っているに過ぎず、驚くには値しない▼衆院で改憲勢力の占める割合も、民主党から自民党に議席がシフトしただけで、選挙前と差があるわけではない。しかしながらためらいもなく公然と「9条を変えろ」と言ってのける勢力が圧倒多数を占める国会の現状はやはり空恐ろしい。憲法改悪にストップをかけるたたかいがいよいよ正念場にきたことは間違いない。憲法を守ろうという勢力が、真剣に力を合わせなければならない時である▼県内の民主党候補は選挙中に「9条を守る」と、自党の方針を偽る主張を恥ずかしげもなくしていたことから、民主党に護憲を期待して投票した有権者も多いことだろう。また護憲が唯一の旗印だったはずの高知の社民党は、改憲党である民主党と一体で選挙をしていた。「最左派」の元向坂派グループもいつものことではあるが、まったくためらっている様子はなかった▼彼らは護憲を口にしながら改憲派を推すことに矛盾を感じないのだろうか。そこがどうしても理解しがたくて選挙中に、ある労組幹部に問いかけたが苦笑するばかりでまともな答えはなかった。社民党に票を投じた有権者の期待は、改憲党を応援するようなことではなかったはずだ。彼らが有権者の願いに、まじめに応える道をとることを願うばかりである。
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