政党とは「共通の原理・政策を持ち、一定の政治理念実現のために、政治権力への参与を目的に結ばれた団体」(広辞苑)とある。選挙は自らの党の原理・政策の正当性を主張し、投票を訴えるものだ。ところが最近の国政選挙、とりわけ政党の根本が問われる比例代表で、自党ではなく他党への投票を訴えるという奇っ怪な現象が起こっている。自民党の「比例は公明」のことである▼異常現象が目立つようになったのが2003年11月の総選挙。自公保政権(自自公の後、自由党が分裂して保守党、さらに再分裂した保守新党との3党連立。とうにお忘れでしょうが)から、自公の緩衝材の保守新党が脱落し、自公一体政権になったころから▼この時の選挙で自民党は高知1区に福井照氏を立て、川田雅敏・元県議を四国比例に単独で擁立したのだが、川田氏の扱われ方は無惨なものだった。中央公園で当時大人気だった安倍晋三幹事長を招いた(直前にキャンセルした)演説会では、川田氏を目の前に弁士は次々「比例は公明」を訴え。随分と残酷なことをすると思った記憶がある。2004年の参議院選挙でも同様だった▼今回の選挙では自公一体選挙は、当たり前で大した話題にならなくなった。福井氏の候補者カーには公明党議員が乗り込み「比例は公明」を徹底するよう「監視」しているというから恐れ入る。いや公明党を自民党と別の党と思うから分かりにくいだけであって、自民党池田派と考えればスッキリする。創価学会票の注入という「生命維持装置」なくして自民党は、もはやなりたたない。宗教団体に内部から侵食され空洞化する自民党は、小泉総裁が絶叫するまでもなく、確実に「ブッ壊れて」いる。
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