以前本欄で創価学会が矢野絢也・元公明党委員長を聖教新聞紙紙上で激しく攻撃したことを紹介したが、その後動きがあった▼『週刊現代』8月6日号・13日号に、矢野氏の自宅に黒柳明・元公明党副委員長ら3人の元国会議員が乗り込み、矢野氏が議員時代に書いたメモや手帳を「強奪」という記事が載った。黒柳氏ら3人は、この記事が名誉毀損だとして講談社と矢野氏に1000万円の損害賠償と謝罪広告を求め民事訴訟を起こした。原告もメモを持ち去ったことは認めており、争いは矢野氏が自主的に提出したのか、無理矢理持ち去ったのかということになる▼無類の裁判好きの創価学会・公明党であるから訴訟は驚くに値しないが、10数年も前に政界を引退した矢野氏のメモになぜ学会はそれほどおびえるのか。矢野氏は92年から93年にかけて書いた『文藝春秋』の手記で「政教一致ととられてもしかたがない」など公明党について記述したことを学会に批判されるとすぐさま撤回。単行本化する時は該当部分をカットして恭順していたのだが、その後も学会にとって矢野氏は要注意人物であり、両者には緊張関係があったようだ。最近の聖教新聞では「元議員の妻が料亭に」、「よく金があるものだ」などと矢野氏の家族を示唆した陰湿な攻撃がしつこくかけられている▼都議選を前に平野貞夫氏が講談社から暴露本を出したことから、学会は「矢野の暴露本はいつか」と戦々恐々なのだろう。矢野氏にすれば、やられっぱなしではたまらない。メモをネタに「一刺し」を考えている可能性はある。今回の裁判で学会と矢野氏の敵対関係は決定的になった。初代委員長に続き2代目も血祭り。さて次は誰の番なのか。
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