創価学会が竹入義勝・元公明党委員長を蛇蝎のごとく嫌い、毒蛇だ畜生だと執拗に攻撃していたことは記憶に新しいが、最近は矛先が竹入氏の後に公明党委員長を務めた矢野絢也氏に向いている▼4月28日付の聖教新聞4面の座談会。学会員を都議選に駆り立てる記述に加えて目を引いたのが「公明党元委員長の矢野氏が謝罪」という大見出し。その横には「裏切る者は叩き出せ」「議員は引退後が勝負」「報恩感謝の行動を」とある▼矢野氏は10年以上前に政界を去った過去の人だが、何故今更のように叩かれるのか。理由は93、94年に「文芸春秋」に矢野氏が書いた手記にある。この中に「(公明党と創価学会が)政教一致ととられてもしかたのないところがある」、学会の会館を「池田名誉会長の自宅」と書いた箇所があった。いずれも的確な表現だが、矢野氏は手記が出た直後に早々と自己批判。手記を単行本化する際には該当部分をカットしているのでとうに決着済みのはずだった▼しかし学会はそう簡単に勘弁してくれるような組織ではなかった。5月上旬、聖教新聞の読者の投稿欄に「矢野忘恩に憤り」「口先だけなら許さない」などという投書が相次いで載ったかと思うと、5月9日座談会「矢野元委員長が海外?口先だけの謝罪はいらぬ」と都議選前に海外旅行をしたことに因縁。さらに18日座談会では「矢野元委員長が重ねて謝罪」と追い打ち。学会側の狙いはよく分からないが、たぶん矢野氏はただのスケープゴートなのだろう。公明党の元委員長でも「学会に逆らうとこうだぞ」と主従の関係を再確認するため定期的に行わなければならない儀式なのではないか。さて次はのターゲットは誰になるのか。
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