3月県議会で執行部が提案した65歳以上の高齢者の県営文化レク施設の入場料免除をやめ、有料化しようという提案は、県議会の全会派の一致した反対で否決された。有料化の対象となった施設は美術館、牧野植物園、坂本龍馬記念館、文学館、歴史民俗資料館、足摺海洋館、春野総合運動公園プール、県民体育館プール、のいち動物公園、懐徳館。理由は財政難の中で収入をアップしたいということらしいが、浮かんだ言葉は「貧すれば鈍する」▼有料化により増収として見込んでいる額は全部の合計で年間1600万円とのことだが、この額をどう見るのか。産廃建設による日高村への60億円(村民1人あたり100万円)にのぼる「地元対策」、森林環境税の使途、商工労働部のいいかげんな企業誘致関係予算などと比して、実際に県下の多くの高齢者に憩うスペースを提供できていることを考えれば「費用対効果」は抜群ではないだろうか▼だいたい有料化しても、これまでの入場者数が同様に確保できて免除分がまるまる増収になるなどという計算がそもそも机上の空論のように思える。これらの施設はどうしても使わなければならないようなものではない。無料なら「行ってみようか」という気になっても、有料なら行かない人は多いだろう。無料なら家族と一緒に出かけようという気になり、相乗効果で入場料を払う人も増え、ついでに外食でもしようかということになって金が動く。家の中でテレビばかり見ていても、健康によくないし、金も回らない。1600万円を節約するというのなら県にはまだまだやるべきことがある。電卓ではじいた計算だけでは血の通った政策は生まれてこない。
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