県議会9月県議会本会議質問で「解同」に支持された議員が「差別落書き」を取り上げた。高知市朝倉の公園の便所に連続して書かれた落書きを読み上げ、県に対策を求めるものだった▼この議員は長文の落書き全文を朗読。賤称語を8回も繰り返し、「部落差別の厳しさ」を強調した。言われるまでもなく便所の落書きには目をそむけたくなるものが多い。この議員の思いも分からないでもないが、便所の落書きを一字一句、議場で忠実に読み上げるそのセンスは理解しがたい▼問題の落書きは同一人物の仕業のようだ。「解同」や行政が大騒ぎをするのをおもしろがる愉快犯であろう。知事は「監視を強化する」と答弁していたが、この手合いには「釣られる」と負けである。「ひがち」になるほど術中にはまる。便所は密室であり監視は困難。落書きは器物損壊という犯罪なのだから、立件可能な条件があれば対応し、できないなら黙って消す以外に手はない。便所の落書きには、電話番号や個人名を特定した悪質な性的な嫌がらせなどひどい人権侵害をよく見かけるが、行政はいちいち騒がずに、粛々と消しているのではないのか。なぜ落書きの内容が「部落差別」に関するものだと行政をあげた大騒ぎになるのか理解できない▼落書き消去活動を取り組んでいる奈良県県民生活課は「落書きをさせないためには、書かれたら消すという機運を盛り上げることが重要。消さないと落書きは一向に減らない」と言う。これは「差別落書き」であろうがなかろうが同じはずだが、消すどころか、ご丁寧に落書きの全文を議場で読み上げ、インターネットで全国に配信し、議事録に残してくれたこの議員に落書き犯は「快哉」を叫んでいることだろう。
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