沖縄国際大学のキャンパスに普天間基地アメリカ海兵隊の大型ヘリコプターCH53Dが墜落したニュースは衝撃的だった▼このヘリは兵員を35人も一度に輸送でき、全長が27メートルにもなる。この巨大な鉄の塊が落ちてきた同大の1号館1階事務室には20人の大学職員が勤務していた。80メートル離れた別棟では140人の学生が夏期集中講義の真っ最中。グランウンドにも多くの学生がいた。大学のすぐ横に建つマンションの1室ではサッシ窓を突き破った破片がテレビに食い込んで止まった。テレビの横には赤ちゃんが寝ていた。住民に人的被害がでなかったのはまさに紙一重、奇跡的といってもよい▼今回の事故を報じたメディアの反応は盆の「夏枯れ」でニュースが枯渇していたことを差し引いても鋭かったと思う。中でも地元沖縄のQAB琉球朝日放送の果敢な報道は光っていた。同局のカメラは事故直後、アメリカ軍の封鎖をかいくぐって現場に入り、まだ熱を持つ墜落したヘリの機体、黒く焼けこげた建物、破片が散乱して非常ベルが鳴り響いている事務室の様子を撮影。「録画したテープを出せ」と迫る横柄なアメリカ兵に、「何の権利があるのか」と記者が渡り合って拒絶するシーンも▼94年に大川村にA6E攻撃機が墜落した時も全く同じだったが、アメリカ軍は事故現場に日本の警察を入れず、さっさと機体を処理。事故原因の究明は不可能になった。QAB報道はアメリカ軍の占領意識丸出しの行動、県民ではなく米軍を守る日本警察の本質など日本が独立できていないことを実感させる優れたものだ。QABホームページからニュースのバックナンバーを見ることができるので、興味のある方は是非ご覧ください。(2004年8月29日)
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