県議会百条委の証人尋問が終わった。この話は建設業者からの金に坂本ダム工事への賄賂的性格があったか、橋本知事がそれを知っていたかに尽きる。取材の実感と想像を交え勝手な推理をしてみたい▼まず町田照代氏からの1億だが、後援会長が資金を立替えるのは、さほど責められることでもなかろう。偽証で話が大きくなったが本筋ではない。重要なのは平成3年選挙中に提供された6社(熊谷、大旺、戸田、西松、新進、和住)の1億円余だ。和住以外は否定しているが、どうやらこれに近いものがあったようだ。この一部が町田氏への返済にあてられた可能性はある。橋本有利とみた業者の「名刺代わり」を落下傘候補の橋本氏が知らなかったしても無理はない。しかし裏金には違いなく、結果的であってもその責任は重大だが、2年後に入札される坂本ダムと関連付けるのは無理がある▼もうひとつは熊谷組が坂本ダム受注を条件に提供したという「別の1億」。こちらは笠証言で受け取り日時が平成6年から4年に変わるなど当初からアラだらけ。熊谷組が「6社」と併行して2年後に談合するからと別に1億出すのも不自然だし、そもそも談合は業者同士でやるもので知事に金を出すのは筋が違う。金の受取り日時、金額も笠証言は矛盾が多すぎる▼笠氏は熊谷組に金を無心した時ダムの話はなかったと断言した。ならば熊谷組に頼んだのは「6社」分で、「別の1億」は始め自分で言ったように6年に笠氏が独断で動いたものではなかったのか。3年知事選にこじつけるため「別の1億」は4年でなければならなかったと考えると辻褄が合う部分が実に多いのである。9月議会で百条委がどんな結論を出すのか注目したい。(2004年8月22日)

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