県が言う市町村合併の「将来的に悔いを残さぬ判断」にはまったく同感だが、県の主張は将来を見据えているようにはとても思えない▼「三位一体の改革」による交付税削減は単独自立でも、合併しても同じ。11年後からは合併したほうがよけい減る。まずここをはっきりさせる必要がある。合併で「増える」収入は、巨額の借金・合併特例債の返済に充当するための交付税の水増し分だ。見かけ上、増え(減りが少ない)ても使途は借金返済。しかも水増しは借金の全額ではなく、33・5%は市町村の持ち出しになる▼一方、合併による「コスト減」の目玉・人件費は合併から10年後では数%減にすぎないから単独自立より、合併したほうが確実に財政は圧迫される。財政が苦しいから合併したのに、さらに巨額の借金をさせるのだから当然である。まるで多重債務者に「借金まとめますよ」と言いより、さらに借金を重ねさせる「整理屋」、ナニワ金融道の世界を想起させる▼県市町村合併支援室長は「とりあえず5年〜10年暮せるようにするのが合併」と言い切る。本音だろう。彼らをしてもその程度しか考えていないのである。合併してもわずかばかりのカンフル効果はすぐ消え、のしかかる合併特例債の返済。11年目からは合併自治体は交付税が激減▼彼らは10年先のことは決して語らないが、その先にあるのは再度の大合併しかない。その頃には今、合併の音頭をとっている人たちは退職していることだろうが、住民はとりあえず合併の可否を判断をしているわけではない。本当に合併が必要なら、特例債を使わない合併の選択肢もあっていい。なぜ借金ありきなのか。来年3月以降も合併はできる。こんな時だからこそ、じっくり腰を据えた議論をしようではないか。(2004年6月13日)