最近、県庁職員の間で「ヘッドライト・テールライト聞いたことある?」というのが話題になっているそうだ▼いわずと知れたNHK番組「プロジェクトX」のエンディングテーマ、中島みゆきがスローでじっくり聞かせる名曲だが、県庁では4月から午後8時55分になると庁舎にこの曲を流して「もうすぐ9時です。まだ仕事をしている職員はできるだけ退庁しましょう」と呼びかけている。この曲を聞いたことがあるか否かが、残業量のバロメーターになっているらしい▼筆者が通った吾川郡下の小学校の下校時の放送は、ドボルザーク「新世界」第2楽章のおなじみのメロディーだった(文字では分らなくても、聞けば誰にでも分かります)。この旋律が流れると早く家に帰りたい気分になる人は多いと思うが、ちょっとありふれた感は否めない。「メリー・ジェーン」や「蛍の光」では県庁だとチトまずいという気もするので「ヘッドライト・テールライト」はなかなか面白い選曲だと思う。「ノー残業」を担当する行政管理課で話し合って決めたそうだ▼確かにこの曲を聞くと、「戦闘意欲」がそがれるというか、早く家に帰りたくなる効果は期待できそうだが、この曲は、戦いを終え消えゆく無名の星たちへのレクイエムのような感じにも聞こえるので、「早く帰宅しないと星になってしまうぞ(過労死するぞ)」という意味合いが込められていると考えるのは深読みのしすぎか▼が、好きで残業をする者はいない。残業を前提にしなければ到底こなしきれない分量の仕事があるという現実が存在する。午後11時になっても不夜城のごとく電灯がついている県庁をみるとなんとかならないものかと思う。異常ともいえる県庁の残業の常態化の解決は急務だ。(2004年5月23日)


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