橋本知事の「選挙資金疑惑」を調べてきた百条委員会で、これまで二転三転してきた笠誠一氏の証言の一部を裏付ける事実が明らかになった。町田照代氏と笠氏の間に1億円の貸借があったというのである。物証が皆無のまま「橋本4選阻止」を目的にした極めて党略的な「疑惑」だったが、ここにきてようやく調査のスタートラインに立ったといえる。町田氏のあの啖呵には一杯食わされたが、県政を歪めようとうごめいた金の流れの解明は、大いに望むところだ▼笠氏が町田氏の口座に5000万円を返済していた情報は2月8日の地元紙が一番に報じた。実はこのあたりの経過には不可解なこともあるのだが、それはさておき、同時に忘れてはならないのは笠氏が自分の口座に2000万円を送金していた事実である▼「疑惑解明」に熱心なはずの地元紙だが、この問題については、どういうわけか触れたがらない。16日付の解説記事も、よくまとまっているのだが、故意なのかうっかりか知らないが、疑惑の構図を説明したグラフィックにも、文中にも抜け落ちている。13日の百条委員会では笠氏の口座の調査を「検討する」となっているのも目の前で聞いたはずだが、証拠調べについては通話記録のことしかしかない・・・▼笠氏の2000万円の振込は1月29日の町田氏の証人尋問前から明らかになっていた。初めて具体的に金の流れが判明した重大な情報にもかかわらず、10日も放置してから、「町田氏関係口座に5000万円」の片隅に小さく載った。まさか都合の悪いことを載せない情報操作をしているとは思わないが、そのような陰口を言わさない、すっきりした報道を期待したい。(2004年2月22日)
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