我が家にも中学生の子供がおり、PTAの役員もやっているので日常的に中学生をよく目にする。ウルサイし生意気、かと思えば都合が悪くなると口を開かず何を考えているかさっぱり分からない・・・。腹の立つことも多いが、振り返れば「自分もこうだったよな」と思うし、やっぱり若い生命に満ちている中学生の姿は輝いている▼大阪・岸和田市の中3男子生徒が実父と継母の虐待により意識不明の重体にされた事件は衝撃的だった。育盛り・食べ盛りのこの時期に、少年は日常的に暴行を加えられ、食事も与えられず飢餓状態で24キロまでやせ細り、ビニールシートの上に垂れ流しのまま放置されていたという。あまりの惨状に言葉もない▼虐待した親を厳しく裁くのは当然だが、厳罰だけでは本質的な解決につながらない。社会的に子供を虐待から守る強固なシステムが必要だ。今回、最後の砦である児童相談所が機能を果たすことができなかった。このようなことが2度と繰り返されてはならない▼おりしも高知県は全国に先駆けて「こども条例」の制定準備をすすめている。子供を虐待から守り、子供の基本的人権を守り抜く立場で練り上げてほしいが、残念ながら県が今考えている条例案では基本理念の中に「子供の権利が制限されることがある」というような記述がある。「子供の権利」など頭から認めないアナクロニズムな議員さんの多い県議会で可決させるための苦肉の策なのかもしれないが、深刻な状態に置かれている子供達を守るための条例に「権利制限」をわざわざ書き込むようでは、条例制定のそもそもの意義が揺らいでしまう。岸和田の少年の声なき声に耳を傾け、良い条例をなんとして作ってもらいたいと切に思う。(2004年2月8日)

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