巨人の原辰徳監督が今期限りで辞任することが発表された。昨年の日本リーグ優勝監督のシーズン途中の突然の辞任発表は大きな衝撃を与えた▼辞任会見では、原監督、渡辺恒雄オーナー、堀内恒夫次期監督が発言したが、慎重に言葉を選ぶ原監督の硬い表情と、「読売グループ内人事異動」と軽く言ってのける渡辺オーナーをみていると、オーナーの介入や野球は素人の記者出身の球団代表にあれこれ指図され原監督が“ブチ切れた”という話に真実味がわいてくる▼巨人のゴタゴタの背景には、松井のメジャー入りがあることは間違いない。これまで巨人は日本の野球界の頂点だった。しかし今は巨人もメジャーへのステップに過ぎない。巨人を頂点にした日本野球のヒエラルキー構造は崩壊しつつある。いくら巨人が金にまかせて選手をかき集めても、良いゲームをしなければテレビ中継の視聴率は上がらない▼良いゲームのためには選手や監督がのびのびと野球に専念できる環境をつくることが球団経営者の務めのはずだ。オーナーにあれこれくちばしを挟まれ監督が自由に判断できない中で、辞任を選択した原監督の気持ちはよく分かる。原監督は45歳。これからの球界を背負っていく逸材である。今後は「巨人軍特別顧問」になるようだが、王監督のように他球団のユニフォームを着てさらに成長してくれることを期待したい。(2003年10月5日)

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