先日、高知新聞に松山市が節水のため食器洗い器購入に2万円補助することを制度化したと紹介されていた。食器洗い器を使うと、手洗いより水の使用量が半減するという。注目すべき施策だと思う▼高知市の水瓶の鏡ダムの3分の1は、土佐町の瀬戸川と地蔵寺川から取水されている「高知分水」によってまかなわれているのだが、土佐町では水不足が深刻化していることから分水反対を求める声が高まっている。高知市民にとって「高知分水」は命綱であり、現状で分水をしてもらわないわけにはいかないが、土佐町の言い分も当然のことだ▼高知市民に上流の人々の暮らしに思いをよせ、水源地に暮らす人々の犠牲があって快適な都市の暮らしが成り立っているという思いが充分だったのかということが問われている。蛇口をひねればいくらでも水は出る程度にしか考えていなかったのではないだろうか。「湯水のように」水を消費し続ける社会構造をいいかげんに見直し、節水社会への転換が急がれている。長く水不足で悩んできた都市では議論はかなりすすんでいるようだ。松山にならい食器洗い器の論議から初めてみたらどうだろう。(2002年12月15日)

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