20日の午後1時頃、交通の流れがピタリと止まった高知市中心部の電車通りをパトカーに先導された黒塗りのリムジンに、「お付き」の乗った貸し切りバスを連ねた行列が進む。秋篠宮夫妻の「お成り」である▼一行は信号機をすべて調整して一般車を閉め出した国道をノンストップで空港から県庁に向かった。県庁前交差点では右折レーンに寄って曲がるなどという“ケチ”なことはせず、3車線の真ん中から豪快に右折した(どうみても交通違反だ)▼「お成り」は天皇・皇太子以外の皇族の外出。「行啓」は皇太子の外出、「行幸啓」は天皇夫妻の外出のことだそうだが、今回の国体・よさこいピックには秋篠宮に続き、皇太子、天皇夫妻が来る。「行幸啓」「行啓」「お成り」費合計は県総務部関係だけで3億8000万円。警備費を含めると実に15億円にもなる。すべて県費の拠出である▼これだけの金があれば、どれほど住民の暮らしを支える施策ができることか。税金の使途がきびしく指摘され、失業者があふれる時に、時代錯誤の巨大な無駄遣いがまかりとおり誰も指摘するものもない。国体の簡素化に果敢に挑戦したさすがの橋本知事も、この方面には何も手をつけようとはしなかったようだ。ああ、もったいない。 (2002年9月29日)
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